●久しぶり

スローバラードがらみか、急に『東京トンガリキッズ』の事を思い出した。これは、私が自分に過剰に期待していた恥ずかしい時代に何度もくり返し読んだ本である。
気になりだしたら止まらないので調べてみると、未収録作品を網羅した文庫版がもう5年も前に出ていた。当時に発売された方は手元にあるのだが、掲載されていない作品があるのは知っていたので、これは読まなければという気持ちになった。引き続き調べてみるとすでに絶版になっていた。最寄り駅の書店に寄ったが置いてなかったので、近所のブックオフを探すと、あっさり100円コーナーですぐ見つかった。
いつも思うのだが、ブックオフは本を全く大事にしない店だ。値段のシールの粘着が強過ぎて、きれいに剥がれたためしがない。私はリモコンや化粧品に付いているシールや、傘のもち手のセロファンを付けたままにしておきたくないタチなので、早速剥がそうとしてカバーごと剥がれてしまった。たとえ古本でも商品に愛情を持たないと駄目である。
値札を剥がしたので早速読んでみた。印象的だったイメージ写真がなくなっていた分、作品のボリューム感がなくなったように感じた。何度も読んでいるので、ああそうね、そうねと思った。結構修正されていた箇所があり、前のままの方がよかった箇所もあった。未収録分は20話分あったが、既出の話よりインパクトがなかった。これは私が結構いい歳になってしまったせいもあるのだろう。
でも、好きな話はやはり何度読んでもいいものだ。カルチャーな80年代はかっこ悪くて懐かしい。

★今日の一曲：橋の下/ローザ・ルクセンブルグ